本欄で長い間、少しづつ断片的に書き続けてきたモリス論、ようやく全体をまとめて『ウィリアム・モリスのマルクス主義』、副題を「アーツ&クラフツ運動を支えた思想」として、この6月の平凡新書の一冊として出版されました。そろそろ店頭に並ぶものと思います。モリス研究は、経済学から、マルクス研究から入りましたので、マルクスからモリスへの発展をテーマとしましたが、モリスの社会主義思想が、「アーツ&クラフツ運動」の発展として、芸術社会主義や共同体社会主義と呼ばれる点を、中心テーマにして書き上げました。19世紀社会主義の思想は、もともと働く喜びを取り戻し、暮らしに美しい芸術を取り入れる思想だった。旧ソ連のマルクス・レーニン主義とは、似ても似つかないものだと思います。
「あとがき」に記しましたが「本書の執筆は、<賢治とモリスの館>を訪れて下さったたくさんの方々に説明する、そんな気持ちで書き下ろしました。ご来館の皆さんに、お礼を申し上げます。」ここで重ねてお礼申し上げますが、皆さんに説明させて頂いた内容が、沢山盛り込まれています。僭越ながら、もう一度全体をお読み頂き、モリスの思想をさらに深く、十分に御理解頂ければ有難いと存じます。さらに、ご高評頂ければ、これからの研究に役立てることが出来ます。 第四章「現代に蘇るモリスの<共同体社会主義>」では、サブタイトル「東日本大震災と近代文明の大転換」として、近代機械文明、科学技術主義文明の批判者としてのモリス、そして『農民芸術概論綱要』でモリスの労働論を受け継いだ宮沢賢治の文芸思想の今日的意義を取り上げました。この新書の執筆の途中で、3・11の大震災に遭遇、停電などの影響も受け、津波に流される夢をみながら書きました。それだけに、モリスを受け継いだ宮沢賢治のメッセージ、「雨ニモマケズ、風ニモマケズ」の賢治精神を受け止めようと思った次第です。 御照覧下さい。
by kenjitomorris
| 2012-06-17 19:22
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