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「マルクスからモリスへ」学会で報告
 すでに作並の「館」、紅葉の季節も終わり、12月を迎えます。クリスマスのシ-ズンですが、今年も飾り付けに取り掛かります。今年の作並の紅葉、例年より紅色が薄い感じもしましたが、それでも庭は錦に飾り立てられました。写真を撮りに立ち寄られた方も多いようです。小生も下手な写真をアップしておきます。
 今年の秋は多忙で、ゆっくり「学芸員」を務めることが出来ず、失礼してしまいました。11月1日、国際シンポのため北京に出かけましたが、何十年ぶりかの初雪の北京でした。北京では紅葉の名所、毛沢東が昔、ここから北京に「入城」した香山のホテルに泊まりましたが、積雪で紅葉どころか雪景色の見物でした。
 国際シンポの準備に加えて、さらに学会報告を予定していたため、超過密でタイトなスケジュールになってしまいました。学会は、地方学会と全国学会の2つですが、どちらも①モリスが1883年、丁度マルクスが亡くなった年ですが、『資本論』を熟読してイギリスの社会主義組織「民主同盟」(84年「社会民主同盟」に改称)に、マルクスの娘エリノアとともに加盟したこと。②オックスフォード大学の講演で、宮沢賢治にも引き継がれた有名なフレーズ”Art is a man's expression of his joy in labor"を述べ、マルキストを自称したこと。③同志だったBaxの協力を得て、『資本論』の独自の解説を含む『社会主義―その発展と成果―』という著作を書き、それに基づき名作『ユートピア便り』(News from Nowhere)が執筆されたこと、などを報告しました。
 モリスはマルキストとして社会主義を真面目に実践しましたが、エンゲルスからは「空想的社会主義」として批判され、敬遠されました。それどころかエンゲルスの社会主義がマルクス・エンゲルスーレーニン主義としてロシア革命からソ連邦に継承され、ドグマとなって正統化されてきました。逆にモリスの社会主義は異端の思想でした。しかし、ソ連が崩壊し、社会主義のソ連モデルが失権した21世紀の今日、モリスの「ユートピア社会主義」の思想が正当に評価され、アーツ&クラフツ運動の意義も正しく受け継がれなければならない、と訴えた次第です。
 それにしても超多忙な09年の秋でした。ここでも、ご報告させていただきます。「マルクスからモリスへ」学会で報告_a0063220_2112030.jpg「マルクスからモリスへ」学会で報告_a0063220_21141216.jpg
# by kenjitomorris | 2009-11-26 21:18
「注文の多い料理店」朗読発表会終わりました
 NPO法人シニアネット仙台の朗読グループ「注文の多い料理店」の発表会、10月9日に仙台「福祉プラザ」で行いました。毎年、発表会が恒例になり、今年も70人以上の皆さんが、熱心に聴いてくださいました。ここでも、お礼申し上げます。
 今年は、9月22日の「賢治祭」に、花巻の「イーハトーヴ」館でも、全国の皆さんに混じって、「どんぐりと山猫」を朗読しました。続いての発表会、自己評価では、やはり段々上手になったように思います。とくに4人の輪読なので、呼吸の合った掛け合いができたように思います。練習が大切です。写真は花巻でI氏が撮影。
 毎年、賢治の童話を朗読していますが、賢治の童話の朗読は、芥川や漱石,太宰などの作品と比べると、とても演劇的です。また、歌謡的でもあります。総合芸術でしょうか?また、賢治は子供と共に、むしろ大人に向けて童話を書いています。大人の童話の魅力を朗読したいと思います。
「注文の多い料理店」朗読発表会終わりました_a0063220_21405488.jpg

# by kenjitomorris | 2009-10-18 20:49
鳩山由紀夫首相の友愛社会とW・モリスのデザイン
 鳩山首相の国連での演説、温室効果ガス25%削減目標が、国際的に高く評価されています。自民党から民主党に代わり、久々に国際舞台での鳩山さんの活躍は、とても気持ちのいいものです。50年に亘る日本の自民政治が変った、その変革を実感できました。海外からは、革命的な変革と評価されています。
 オバマ米大統領の国連中心主義への「チェンジ」といい、鳩山演説といい、何となく世界の歴史が大きく動き出しているようです。鳩山演説にも出てきましたが、そのまえにニューヨーク・タイムズに載った、鳩山論文が話題になりました。そこでは「友愛社会」がキーワードになっていました。仏大革命の自由・平等・友愛、その友愛Fraternityです。個人主義の自由が行き過ぎると市場万能の格差社会になる、平等も悪平等の飢餓の平等になる、そこは友愛で助け合いコミュニティの再建を図り共生の理想を目指す考え方です。
鳩山由紀夫首相の友愛社会とW・モリスのデザイン_a0063220_7265670.jpg

 じつはモリスも、1883年に当時のイギリスの社会主義の団体「民主連盟」に参加しました。そのスローガンが、仏大革命の自由・平等・友愛でしたが、モリスはさっそく会員証のデザイン作成を依頼され、ご覧のような友愛Fraternityをデザインしました。日本の民主党さん、モリスに党員証のデザインを頼んだら良いですよ。
# by kenjitomorris | 2009-09-28 07:32
賢治「どんぐりと山猫」の朗読
 仙台のNPO法人「シニアのための市民ネットワーク仙台」の朗読グループ「注文の多い料理店」は、10月10日に、今年も発表会を行います。露伴や漱石、竜之介の作品とともに、今年は賢治の代表作で、生前に刊行された唯一の童話集、『注文の多い料理店』の巻頭を飾る「どんぐりと山猫」を朗読することにしました。
 4人で群読しますが、小生の割り当ては、山猫と山猫の別当役です。ご存知の方も多いでしょうが、この童話は裁判の話しで、いわば裁判長が山猫、「一郎」なる農民が、裁判に急に呼び出されて参加する、今日の「裁判員」、原告と被告がとり混ぜて「どんぐり」達、という事になります。

 賢治の童話は、動物の姿をかりて、世相を批判する類が多い、一種の寓話でしょうが、非常に示唆に富んだ作品です。
 一般に、この作品は、「差別を超越し、平等を求める賢治の思想の一環が提示されている」などと紹介されています。とくにさまざまな形をした「どんぐり」が、お互いに自己主張して、裁判が難航する。それに対して、一郎が「いちばんばかで、めちゃくちゃで、まるでなっていないようなのが、一番えらいとね。」と判決して収めるのです。ここには、賢治の「アメニモマケズ」の木偶の坊に通ずる考えがある、と解釈する人もいます。

 ただ、朗読の練習をしながら、賢治は今日の「裁判員制度」を予想し、それを皮肉な目で批判しているのではないかと思いました。司法も三権のひとつで国家権力、山猫裁判官も冤罪問題など、判決に自信を失い、裁判員として農民の一郎に参加させる。一郎も喜んで参加、しかし謝礼の手当てにもらった「金のどんぐり」、家に帰ってくると、「一郎は自分のうちの前に、どんぐりを入れたますを持って立っていました。」

 国家権力に厳しい批判の目を向けていた賢治は、権力の裁判に皮肉な批判を込めて童話を書いたのではないか?権力への参加の限界を、賢治は厳しい目で見ていた。それは、今日の裁判員制度にも言えそうですね。賢治先生、新しい童話を書いてみて下さいませんか。

なお、発表会とは別に、9月21日に花巻のイーハトヴ館で、「どんぐりと山猫」朗読の予定です。

賢治「どんぐりと山猫」の朗読_a0063220_22202913.jpg
賢治「どんぐりと山猫」の朗読_a0063220_2221349.jpg
# by kenjitomorris | 2009-08-24 22:34
仙台・七夕の「銀河鉄道の夜」
 NPO法人シニアネット仙台の七夕飾り、今年は「銀河鉄道の夜」でした。この飾り付けの下で、仙台の伝統の「スズメ踊り」が行われました。

 「竹にスズメ」、モリスさん新しいデザインのテーマに如何でしょう?

 賢治先生、このテーマで、新しい童話を書いて下さい。

 この写真、シニアネット会員のセミプロ写真家、Nさんの作品です。仙台・七夕の「銀河鉄道の夜」_a0063220_21291440.jpg
# by kenjitomorris | 2009-08-13 21:32



賢治とモリスの館 - 最新情報
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