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脱ダム宣言:ダム水から沢水の水道へ
 10月に書きましたが、作並の温泉街を中心に、地域の活性化を狙ったトレッキング・マップ作りを始めました。宮城学院女子大学の先生、ゼミの学生さんにも協力して頂き、「地図を持って里山を歩こう」というわけです。「賢治とモリスの館」を根城に、すでに何回か集まり、山や沢を歩き回りました。そして、次々に新しい発見に驚いています。「館」をオープンして約8年ですが、地域のことを知らなかった不明を恥じるべきですね!
 
 自分自身が感じていましたし、「館」の来訪客の皆さんから指摘されていたのですが、「この館の水は美味しい」、水道の水を褒めて頂いていました。その秘密が明らかになりました。トレッキングのルートを、広瀬川の水系に沿って調査したのですが、「館」の近くにある水道局の浄水場のヒアリングで、仙台の市内の水はダムの水がほとんどだが、作並の温泉街や「館」は、広瀬川の源流の沢水から取水している、とのことでした。
 同じ仙台市の水道局、同じ水道料金で、水道の水がダムの水と沢の水の2種類なのです。浄水場の方の説明では、ダムの水に比べ、沢の水が格段に美味しい。「館」の水道の価値を初めて認識しました。ダムの水が多くなるに従い「水道の水は不味くて飲めない」、そこでペットボトル入りの水が自動販売機で大量販売されるようになった。しかし、本当の沢の水の味は、「館」でお飲みいただくのが最適ですね。

 そんな訳で、雪の積もらない中に探索しようと、わが浄水場が90%取水している、「熊沢林道」をトレッキングしました。この林道、「水源保安林」と呼ばれ、広瀬川の源流の「熊沢」に沿って、道幅も広く、ブナの林が広がり、滝や堰堤もいくつかあり、さらに道沿いに自然の泉が、次々と湧き出ているではありませんか!この泉の水こそ、わが「館」の水道の水なのです。
 「館」から歩いて15分か20分、後期高齢者にも簡単に出かけられるトレッキング・コースです。泉で水を汲み、「館」の部屋で喫茶を楽しむ。それこそ、自然の恵みを飲み、賞味する、暮らし方、生き方だと思います。来春、御来館の節は、是非トレッキングをお楽しみ下さい。ご案内します。
 
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by kenjitomorris | 2010-12-28 22:49
岩手県公会堂のモリス壁紙
 秋は学会シーズンですが、今年の最後は経済地理学会の北東部会の例会が、12月4日盛岡市で開催されました。会場が、有形文化財に登録されている「岩手県公会堂」と言うこともあり、報告することにしました。
 報告のタイトルは「自然エネルギーと宮沢賢治―羅須地人協会と花巻温泉郷」、簡単に報告の要旨を書かせてもらいますと、オバマ大統領の「グリーン・ニューディール」もあり、地球温暖化対策として「低炭素化経済」への移行が関心を高めています。そして、水力、風力、太陽光、温泉熱など、自然エネルギーへの回帰が強調されて来ました。次世代送電網スマート・グリッドなどが、俄かに脚光を浴びてきました。スマート・グリッドから、自然エネルギーに基づくエコ・シティなど、スマート・コミュニティの街づくりに、大手ゼネコンも乗り出すようです。
 産業構造の「大転換」とも言えると思いますが、それにつけても宮沢賢治やW・モリスの自然エネルギーに根ざした芸術・社会思想に立ち戻って、街づくりも考え直さなければならない。そこで、モリスの別荘があり、最近またBSハイビジョンで「世界で一番美しい村」として紹介された英・コッツウォールズの毛織物工業、それに賢治の花巻温泉郷が、いずれも自然エネルギーに基づいた産業構造だったことを訴えました。冒頭に、賢治の『注文の多い料理店』の「序」を朗読しました。
 「わたしたちは、氷砂糖をほしいくらいもたないでも、きれいにすきとおった風をたべ、桃いろのうつくしい朝の日光をのむことができます。
 またわたくしは、はたけや森の中で、ひどいぼろぼろのきものが、いちばんすばらしいびろうどや羅紗や、宝石入りのきものに、かわっていのをたびたび見ました。
 私は、そういうきれいなたべものやきものをすきです。」
 賢治の文学は、風力や太陽光の自然エネルギーですが、賢治の花巻農学校から羅須地人協会の時代、会場の岩手県公会堂が昭和2(1,927)年に開館しました。設計者も同じ、東京の日比谷公会堂とならぶアールデコ調の公会堂で、巨額な建設費が懸かったそうです。建設費の捻出をめぐり、賢治の花巻農学校でも意見が対立、とくに「公会堂建設の費用捻出に街道の松並木の伐採の是非をめぐり、1925年(大正14)4月、農学校で<松並木伐採問題討論会>をかいさいしました。賢治は反対論で、同僚の白藤慈秀は賛成論で生徒を支援しましたが勝負はつかず、最後に校長が<賛否両論を聞いたがすべての物の見方には二つの立場がある。‐‐‐諸君もこの討論会を通じて、物には現実と理想の両面の見方があるということを知ったと思う>と講評しました」(『賢治 その時の盛岡』62ページ)
 賢治は環境派の理想論ですが、43万8千円の総工費の約半分20万円が市民の寄付だったそうです。だからこそまた、現在も盛岡の市民は歴史建造物として大切に使い、学会の会場にも利用されているのです。この会場で、賢治の自然エネルギーについて報告するのも、何かの縁だと思いましたが、さらに驚くべきことを発見したのです。
 会場は、現在は会議室として市民が利用していますが、元は盛岡で最高級の西洋料理のレストラン『公会堂多賀』の大食堂だった部屋なのです。アールデコ風の家具が置かれ、何と壁紙はモリスでした。学会報告を中断、しばし会員の皆さんにモリスの壁紙とともに、賢治の自然エネルギーの思想を実感してもらいました。『公会堂多賀』の食堂そのものは、いま地下に移転しましたが、営業していました。
 さすが賢治の「イーハトヴ」の盛岡です。歴史建造物の食堂に、モリスの壁紙を四方に張り巡らしているのです。ダイニングルームのモリス・ルームは、ロンドンのV&Aの食堂だけではなかったのです。盛岡の公会堂にもあったのです。賢治とともに、モリスの価値を大切に保存し、生かし続ける盛岡の「都市の品格」をしみじみと感じます。その会場で、恐らく生涯最後になると思う学会報告ができた喜びを抱きしめながら、その日青森まで開通した東北新幹線で仙台に帰りました。
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by kenjitomorris | 2010-12-06 14:31



賢治とモリスの館 - 最新情報
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