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パリ・コンミューン
<情報コーナー>
 北日本に寒波襲来、仙台作並も積雪です。遅れ気味だった紅葉、まだ落葉する前に雪景色に早変わり、面食らっているでしょう。いよいよ冬支度です。
 1)ただ、このところ「館」への来訪者が多く、土日の週末も「予約制」を採らせて頂きます。とくに食事ご希望の方は、ご面倒でもご予約下さい。長時間お待たせしたり、ご希望に添えず失礼したり、混乱して対応できなくなりましたので、当方で調整させて頂きたいと存じます。ご来館の方も、当方も、ともにゆっくり対応させて頂く時間を持ちたいと思います。宜しくお願いします。
 寒波も収まると思いますので、これから準備中のクリスマスの飾り付け、そして年内は開館したいと思います。ご来館をお待ちします。
 2)『賢治とモリスの環境芸術』、目下書店で販売中です。ご来館の皆さんでご希望の方には記念として、著者買い上げ分からお分けしております。お申し出下さい。
 3)出版にご協力頂いた皆さんへの御礼を兼ねて、花巻に出かけました。花巻農業高校で今年もまた、賢治先生の伝統の「花農リンゴ」購入しました。ご来館の上ご賞味下さい。ついでに花巻温泉のバラ園で購入の「賢治の愛したバラ」の苗を持ち帰りました。赤いバラです。黄色の「ウイリアム・モリス」と並んで、来春美しく咲かせたいと思います。
*23日、3連休で「館」に居りますが、かなりの積雪です。雪の中ご来館の方も多く、雪かきをしてお待ちしていますが、車の運転ご注意下さい。
<研究ノート>
 W・モリスは1885年に創刊された社会主義同盟の機関紙『コモンウィール』に、「Socialism from the Root Up」を連載した。社会主義の「思想史」であり、モリスは社会主義の根源に逆のぼり、自らの考えを点検しようとしたのだ。誠実な人柄の現われだと思う。とくに経済学などについては、ドイツでヘーゲルの弁証法など勉強して来たE・Bバックスの協力を得たと言われている。後にバックスとの共著の形で、『Socialism』としてまとめられたが、その辺の事情は後で取り上げたい。
 1886年秋の時点で、モリスは「1871年のパリ・コンミューンとそれに続く大陸での運動」を取り上げている。パリ・コンミューンの歴史的位置は大きいし、そのドラマチックな展開は、大仏次郎の名作『パリ燃ゆ』で明らかだろう。しかし、その役割や意義については、評価が分かれている。とくに70年代から80年代にかけての新たな社会主義論争には、微妙な影を落としている。マルクス、エンゲルスの評価、ベラミー『かえりみれば・2000-1887』へのモリス『ユートピア便り』などの背後には、パリ・コンミューンへの評価の違いが大きいように思う。そんなわけで、モリスの『コモンウィール』の論説を簡単に紹介しよう
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by kenjitomorris | 2007-11-22 16:06
公務員
<情報コーナー>
 10月末から11月の初めにかけて、約1週間の短期間だったが、中国へ出掛けた。北京、瀋陽、大連を廻ってきたが、来年のオリンピック開催で街の混乱が予想された北京だが、都心部だけの話に過ぎないけれども、数年前より綺麗になった。車の混雑は日本と変わらないが、柳とポプラ=楊を組み合わせた高速道路の街路樹、さらに路辺の植え込みが美しくなった。赤色と黄色のバラが、長距離に亘って植え込まれている。中国らしく桁外れに大量に植えられている。オリンピックが終ったらどうなるのか?余計な心配をしたくなるほどだ。
 瀋陽は、国営の鉄鋼工場が合理化され、すっかり空が綺麗になったのには驚いた。昔の瀋陽は、旧・奉天の重化学工業の公害で、空は終日、赤く黄色く雲っていた。眼も喉も痛くなったことを思い出す。瀋陽は、街も空の色も一変したのだ。昨年は、「世界園芸博覧会」が開催された。その際、製作された記念切手集をお土産に頂いた。
 大連は、以前から中国の都市とは思えないぐらい、清潔感のある街だ。美しい芝生、花壇、クルマの数は増えているが、国連が選んだ美しい都市環境は護られている。路面電車も走る環境に優しい街づくりは参考になる。
 仙台に帰ったら、作並の紅葉が美しくなった。例年より遅れ気味だが、今「館」の庭は絶好調で、来週はピークを過ぎて、枯葉の舞う初冬を迎えるだろう。
<研究ノート>
 シニアネット仙台の朗読グループでは、「猫の事務所」を読み終わった。別の作品を読み始めたが、「猫の事務所」を読んで、いろいろ問題が凝縮されているのに気付いた。①執筆、発表の時期が、花巻農学校を退職、羅須地人協会を始めた時期でもある点②いわゆる月給取り、サラリーマンに批判的態度をとっていたこと、③行政システムに対して、協同・共助型の「結い」などを評価してたこと、以上の論点を挙げてみたい。
 ①「猫の事務所」は、1926年(大15)に「オッペルと象」「ざしき童子のはなし」とともに、尾形亀之助編集の「月曜」誌に発表され、その3月号に掲載された。この年は、賢治が花巻農学校を退職、桜の宮沢家の別荘で独居自炊生活を始めたし、羅須地人協会を設立した年でもある。執筆は、他の賢治作品と同様、何度も手入れや書き直しがある。草稿も現存していて、発表されたものとはかなり違っているので、若干長い時間をかけて書いたものと思われる。執筆しながら農学校を退職すること、つまり公務員の月給取りを辞めることを深刻に考えた時期だろう。同時に、独居生活をして「下の畑」で自営農をやっていく決心をした時期でもある。サラリーマンから農民への自己変革の時だった。
  ②羅須地人協会の時代、伊藤与蔵さんの「聞書」でもそうだが、与蔵さんたちが「将来のこと」「身の振り方」について相談しても、賢治は「百姓ということを前提に何事も考えられていた」、百姓以外のことは勧めなかった。とくに「給料取りは積極的には勧められなかった」(「笹小屋、『賢治とモリスの環境芸術』67-8ページ)と書かれている。座談会でも、同じようなことが話題になったが、賢治は自分の体験からも「怠けても給料をもらえる月給取りはきらっている」ことが、かなりハッキリしている。モリスの労働観、「はた」を楽にする利他心の労働観からすれば、賃上げだけを目的に利己心の労働観に裏付けられる、賃労働の月給取り=サラリーマンの労働には否定的だったと思われる。だからこそ、賢治自身のサラリーマンから農民への自己変革を迫られたのだろう。職務職階制に護られ、責任を取らない公務員には、とくにその点を感じていたに違いない。
 ③職務職階制の年功序列の体制では、職場でのイジメや嫌がらせが起きやすい。「猫の事務所」の公務員の職場も、末端の四番書記「かまねこ」がいじめられるが、その点に寓話としての教訓的な意味が込められている。しかし、単なるイジメ問題ではない。もっと大きな寓意は、事務所の廃止であり、猫の親類のような金色頭の獅子の登場による「天の声」で、無駄な仕事の事務所の行政改革が一方的に行われる。企業の倒産ではなく、上からの「天の声」による職場の整理改革について、賢治は「半分獅子」に同感しているのも含蓄に富んでいる。
 賢治は、「聞書」でも例えば「弥助橋」や「火事の手伝い」でも分かるように、集落の共同作業に積極的に参加している。また、橋の材料の木材を提供しているのであり、明らかに地域の共同体的な組織を尊重していることが分かる。「結い」の積極的評価であって、この点もモリスの共同体型の社会主義を受け止めているように思う。今日の地方行政の改革も、地域の「結い」の心を生かした行政自治から住民自治への転換の意義が提起されたとも言えるのではないか
。いずれにせよ単なるイジメを超えた寓意を読み取るべきだと思う。a0063220_8242845.jpg
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by kenjitomorris | 2007-11-14 23:15



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